お知らせ・コラム
ティーバッグの歴史と魅力-手軽でおいしいお茶の淹れ方・選び方のススメ
明治24年創業、八王子のお茶屋・網代園(あじろえん)です。
忙しい家事や仕事の合間、
ほっと一息つきたいときに便利なのが、ティーバッグ。
急須をもたないご家庭が増えた近年、新たなお茶文化として
今後さらに存在感を高めていくことでしょう。
けれど、意外と知らないことが多いのも事実。
茶葉とはどんな違いがあるのか。淹れ方のコツはあるのか。
ティーバッグの特色を知ることで、忙しい日々のなかでも
お茶時間を充実させるヒントが見えてくるはずです。
ぜひご笑覧ください。
-目次-
1.ティーバッグってどんなもの?
・ 思いがけない偶然? 意外な〈 ティーバッグの起源 〉
・ まだまだ進化を続ける〈 日本での歴史 〉
2. ティーバッグと茶葉の違いは?
・ ティーバッグのメリットは、何より〈 手軽さ 〉
・ 短時間でも抽出しやすい〈 葉の種類 〉
・ デメリットは〈 コストパフォーマンス 〉
3. おいしいティーバッグの選び方・淹れ方は?
・ 茶葉が広がりやすい〈 三角ティーバッグを選ぶ 〉
・ フタをして〈 じっくりと蒸らす 〉
・ 〈 保存方法と賞味期限 〉
4. 終わりに
1.ティーバッグってどんなもの?
ティーバッグは、茶の葉が封入された小さな茶袋。
材質は、紙・化学繊維・不織布などさまざま。
そのまま熱湯に浸したり、煮出したりすることで
すぐにお茶を飲むことができる便利なアイテムです。
ティーパック・ティーバックなど、いろいろな名称の商品を見かけますが
語源どおり、茶袋=ティーバッグ(Tea bag)が正式名称のようです。
〈 ティーバッグの起源 〉
ティーバッグの原型は、1896年にイギリスで考案されたと考えられていますが
製品として定着するのはこれよりあと、思いがけない偶然がきっかけでした。
19世紀末、アメリカで紅茶やコーヒーの卸商をしていたトーマス=サリバン氏は
錫(ブリキ)の缶に茶葉を詰め、サンプルとして小売業者へ送っていましたが
コスト削減を目的に、従来の缶ではなく、絹の袋を包材として利用しました。
ところが顧客側が、もともとこのような商品だと勘違い。
計量する手間が省けるし、飲み終わったあと茶殻を取り出す苦労もないと好評で
茶葉を袋で小分けした形での注文が殺到するようになります。
1953年、老舗紅茶ブランドのテトリー社がイギリスでティーバッグ販売を開始。
当初は茶の風味を損なうと敬遠され、国内消費のシェア率はわずか3%でしたが
その後急速に普及し、2007年時点で96%に達しています。
〈 日本での歴史 〉
1961年、ティーバッグ製造機器が日本に初導入され、大量生産に成功。
はじめのころは紅茶・むぎ茶などの茶種で活用されることが多く
今では緑茶(日本茶)のティーバッグも定番になりました。
このほか、水出し専用、フルーツやハーブをブレンドしたものなど
多種多様な商品が次々と登場していますよね。
ティーバッグは、包材や加工のコストがかかるため
中につめる茶葉は、安価なものを選ばざるを得ず
仕上げ工程で選別される粉茶などが利用されていましたが
近年は、茶葉のカット処理などをほどこし
ティーバッグ原料としての製造・品質向上も進んでいます。
2.ティーバッグと茶葉(リーフ)の違いは?
ティーバッグに対し、急須やティーポットを使う茶はリーフティーと呼ばれ
当店では、多くの商品を葉っぱ(リーフ)の状態で販売しています。
両者のおおまかな違いをまとめてみましょう。
〈 手軽さ 〉
ティーバッグの魅力は、何より手軽で便利なこと。
・急須や茶こしを用意する必要がない
・茶葉の分量を測らずに済む
・飲み終わったあと簡単に捨てることができ、洗い物の手間が省ける
・職場やお出かけ先に持ち運びしやすい
など、忙しい現代人に嬉しいメリットがたくさんあります。
〈 葉の種類 〉
ティーバッグの多くは、短時間でお茶の成分が抽出されるよう
リーフのお茶に比べて、細かい葉っぱを使用するのが一般的。
また、お茶のうまみや、きれいな緑の水色をプラスするため
抹茶や粉末緑茶などをブレンドしている商品も多いようです。
一方、通常の茶葉は開くまで少し時間がかかりますが
その分香り高く、本格的な味わいを楽しむことができます。
〈 コストパフォーマンス 〉
前述したように、ティーバッグは袋代や加工費がかかるうえ
一袋当たり一杯(一煎)が標準とされているので
どうしても割高になってしまうのがデメリット。
急須で淹れるお茶っぱは、高級なイメージがあるかもしれませんが
同じ茶葉で二煎目・三煎目を飲むことができるものも多く
意外とお財布に優しいのです。
3.おいしいティーバッグの選び方・淹れ方は?
ティーバッグをもっともっと楽しみたい方へ
最後に、選び方・淹れ方のコツをご紹介します。
〈 三角ティーバッグを選ぶ 〉
ティーバッグといえば、昔は平袋の形状が一般的でしたが
最近は、ハート型・星型・ポット型など
見た目もかわいいタイプが増えてきました。
なかでもおすすめしたいのが、三角ティーバッグ。
テトラ型とも呼ばれる、立体的な形状です。
バッグ内部の空間が広いため、葉が開きやすく
お茶の豊かな味や香りをしっかり抽出することができますよ。
〈 じっくりと蒸らす 〉
「お気に入りのティーバッグをおいしく飲みたい」という方は
いつもより少し長めに、蒸らす時間を取ってみてください。
このとき、マグカップや湯のみにフタをするとGOOD。
熱や香りが逃げてしまうのを防ぐことができますし
容器の中でじっくり葉が開き、お茶の成分が広がります。
蓋つきのカップがない場合は、急須でも代用可能です。ぜひお試しください。
〈 保存方法と賞味期限 〉
保存方法は、茶葉と大きく変わりません。
開封後は、茶筒や気密性の高い容器に移し替え
空気に触れない状態で保管しましょう。
冷蔵庫を利用する方もいらっしゃると思いますが
庫内のにおいを吸収しやすい特性があるため
開封済み製品の保存には、あまり適していないのです。
1~2か月程度で飲み切れる量でしたら
高温多湿を避け、冷暗所で保管すれば問題ありません。
未開封の場合の賞味期限は、緑茶は半年~1年ほど
発酵が進んでいる紅茶は2~3年ほどといわれていますが
お茶は鮮度が命。できれば早めにお召し上がりください。
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4.終わりに
「急須じゃないと、おいしいお茶は飲めないよね…」
「お茶屋さんだったら、ティーバッグは使わないんじゃないの?」
いいえ、そんなことはありません。
慌ただしい朝、外出先に飲み物を持っていくときなど
場面に合わせ、ティーバッグにも活躍してもらっています。
忙しいとき、手早くお茶を飲みたいときは、ティーバッグで。
おもてなしや、ゆったりした時間を楽しみたいときは、急須を使って。
日々の生活に無理なく、お茶を取り入れていただけたら嬉しいです。
今後も、ティーバッグに関する情報を追記していきたいと思っています。
ご質問・ご相談などありましたら、気軽にお寄せくださいませ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ステキなお茶時間をお過ごしください。
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