お知らせ・店主ブログ
【ブログ】お茶にまつわる「数字」のおはなし(その2)
こんにちは。八王子の日本茶専門店・網代園です。
前回のブログでは、お茶の世界の数字についてご紹介しました。
お茶にまつわる「数字」のおはなし(その1)
今月は、数字のなかでも「単位」を取り上げてみます。
容量の単位 … 合(ごう)
戦後に定められた計量法により、単位表記が国際統一されるまで
日本では、長さは尺(しゃく)、重さは貫(かん)といった
尺貫法(しゃっかんほう)と呼ばれる基準が一般に用いられました。
合(ごう)は、尺貫法で体積・容積を表す単位。
升(しょう)を基本の単位とし、
1升(約1.8ℓ) = 10合
1合は約180mlです。
今も、お米を炊くときは「1合(※体積約180mlあたり約150g)」「2合」と数えますし
日本酒を注ぐ1合桝(ます)の容量は180ml、1升瓶は1.8ℓなので
聞き馴染みがあるという方も多いかもしれません。
お茶屋では、急須の容量を示すときにこの単位を使うことがあります。
常滑焼や萬古焼など、古くから急須をつくっている産地では
1合(180ml)を基準に制作を続けているところがあり、
180mlサイズのものを1号急須、360mlサイズのものを2号急須
(地域によって10号、20号とも)と呼ぶことも。
なぜ合でなく、号という表記が定着したのか
こちらにも歴史が隠されていそうで、興味深いですね。
重さの単位 … 匁(もんめ)
匁(もんめ)は、質量(重さ)の単位。
貫(かん)を基本の単位とし、
1貫(3.75kg) = 1000匁
1匁は3.75gで、ちょうど5円玉と同じ重さだとか。
画像は、店に残っている上皿さおはかりという道具。
左の増し台におもりを、右の皿上にはかりたいものをのせ
互いの重さを釣り合わせるという手法で計量していたそうです。
昭和30年代、g(グラム)単位での販売に切り替わる前までは
店でも匁での量りうりを行っておりました。
匁のほか、1百目(375g)、1斤(600g)などの単位も使っていたようで
100g詰め商品が主流になった現代と比べると、
一世帯あたりの消費量が多かったことがうかがえます。
一方、お抹茶の缶は20gや40g売りが多いのですが
こちらは、当時の10匁(37.5g)の分量の名残だそうです。
長さの単位 … 寸(すん)
寸(すん)は、長さの単位。
尺(しゃく)を基本の単位とし、
1尺(約30.3cm) = 10寸
1寸は約3cm、もとは親指の幅にちなんだ長さとされています。
茶の湯の世界では、お茶菓子などをいただく際に用いる
楊枝(ようじ)の長さを、寸を使って表します。
一般的なサイズが3寸(約9cm)、長いもので6寸(約18cm)くらいでしょうか。
お抹茶を掬う茶杓(ちゃしゃく)や扇子(せんす)など
他のお道具でも、こうした寸法表記が未だに使われているのは
昔ながらの伝統が大切に受け継がれているからなのでしょう。
茶道以外でいえば、着物などを扱う和裁業界でも
尺や寸などの単位が現役で活躍していますが
実は、1寸あたりの長さが微妙に異なるんです。
ここまでご紹介してきたのは、曲尺(かねじゃく)という基準で
大工さんが用いる金属製のものさしが名前の由来。
それに対し、和服などの生地を測るときには
曲尺の約1.25倍、1寸あたりを約3.78cmとする
鯨尺(くじらじゃく)が古くから採用されています。
まとめ
2か月続けて、数字にまつわるおはなしを扱ってきましたが
知らなかった事実に気づけたり、新たな疑問がわいてきたりと
私自身、大変楽しい特集でございました。
お客様の目線で、何か気になることがありましたら
ぜひ聞かせてくださいね。
それでは皆さま、すてきなお茶時間を。