お知らせ・店主ブログ

【ブログ】お茶にまつわる「数字」のおはなし(その1)

こんにちは。八王子の日本茶専門店・網代園です。

今回は、お茶と数字にまつわるおはなしを集めてみました。
ご笑覧ください。
 

  

「一番茶」「二番茶」とは?

前回、お茶のつくり方のおはなしをしました。
茶の製造工程のおはなし

チャノキと原料とするお茶は
製法や発酵の度合い、産地の違いなどで、さまざまに分類されますが
「一番茶(いちばんちゃ)」「二番茶(にばんちゃ)」もこうした分類のひとつ、
摘採時期で区分した茶の名称です。

一番茶は、その年はじめて摘み取られるお茶のこと。
はやいところでは4月上旬、寒冷地域では5月中旬ごろから収穫が始まります。
テアニンなどのうまみ成分が豊富に含まれているほか
青葉アルコールという、新茶特有の香り成分をもつのも特徴です。

二番茶は、一番茶から50日ほど遅れて収穫を開始します。
冬の間、養分を蓄えながらゆっくり育つ一番茶とは対照的に
二番茶以降の茶葉は、温暖な気候のなかで一気に発育します。
茶の健康成分として有名なカテキンや、カフェインを多く含み
一番茶に比べると、苦み・渋みが強くなる傾向があるそうです。

三番茶の収穫は、二番茶摘採後、35~40日前後経ってから。
ただ、近年は労働力不足や一番茶の品質向上などを考慮し
二番茶や三番茶を収穫しない茶園も増えているとか。

上記以外に、
一番茶のなかでも特に収穫時期が早い大走り(おおばしり)
秋以降に摘み取りを行う秋冬番茶(しゅうとうばんちゃ)
などの呼び方も。

気になるキーワードがあれば、ぜひ教えてください。

 

 

「一煎目」「二煎目」とは?

「一煎目(いっせんめ)」「二煎目(にせんめ)」
という表現を、皆さまはご存じでしょうか。

一煎(目)とは、お茶っぱを入れた急須に湯を注ぎ、最初に淹れるお茶のこと。

お茶の種類やお好みによっては、
「一度使った茶葉は捨てる」という場合もあると思いますが
日本茶(緑茶)の多くは、一煎目を淹れた急須、つまり同じ茶葉を使って
二煎、三煎と淹れる = 煎を重ねることができるんです。

一煎目は、少しぬるめの湯温でゆっくりと葉を開き、
二煎目以降は、葉に残った成分が浸出しやすいよう、やや高温の湯を使うことで
味が薄まりづらくなり、煎を重ねてもしっかりした風味が味わえますよ。

一方、紅茶は、よく沸騰した湯で長時間(2~5分ほど)蒸らすのが主流。
このときの抽出で、香りや味の成分の大半を出し切ってしまうことから
「一煎のみ」というスタイルが一般的だそうです。

また、中国茶(プーアル茶やウーロン茶)の世界では、
雑味を落とす、葉っぱを広がりやすくするなどの理由から
一煎目の茶を飲まずに捨てる洗茶(せんちゃ)という手法もあるとか。

淹茶文化の違いも、非常に興味深いです。

  

 

「一服」「二服」とは?

日本には、多くの単位や数え方が存在します。

コーヒーやお酒など、容器に入れた飲み物は
「一杯」「二杯」と数えることが多いと思いますが、
茶には、「一服(いっぷく)」「二服(にふく)」という数え方があります。

一体なぜなのでしょうか。

中国からはじめて茶を持ち帰った禅僧の栄西が
鎌倉時代に著した日本最古の茶の専門書
喫茶養生記(きっさようじょうき)』は
次のような文面ではじまります。

 茶は養生の仙薬なり 延齢の妙術なり
(茶は健康を保つ薬であり、寿命を延ばす術をそなえている)

茶の健康効果は、今や国内外問わず広く知られていますが
伝来した当初、日本で茶は「薬」として紹介されました。

だから、「薬を服用する」と表現するのと同じように
茶にも「服(する)」という言葉が使われるようになったんですね。

 

 

まとめ

仕事などの合間に休憩することを
「一服する」「一服いれる」ともいいます。

これから水分補給が大事になってくる季節ですが、
単なる飲み物としてだけでなく
心を和らげ、気分転換するアイテムとして
お茶のことを思い出していただけたら嬉しいです。

それでは皆さま、すてきなお茶時間を。