お知らせ・店主ブログ
【ブログ】茶の製造工程のおはなし
こんにちは。八王子の日本茶専門店・網代園です。
先月のブログでは、新茶の摘み取りについておはなししました。
お茶摘みのおはなし
今回は、その後どのように製品となっていくのか
お茶の製造工程をご紹介していきたいと思います。
生葉管理
生葉(なまは)とは、加工前の茶葉のこと。
生葉は摘採された後も呼吸を続けていて
この呼吸量が増えるほど、葉内成分が消費され
色や香味の低下など、望ましくない変質が起きてしまいます。
品質のよい製品をつくるには、速やかに製造へ移すことが重要ですが
茶工場の能力や供給量などの問題から、ただちに処理できない場合も。
このため、まずは「生葉の適切な管理」が求められます。
生葉の呼吸は保管温度が影響しており
温度が10℃上昇すると、呼吸量は約2倍に。
生葉自体が熱を発して生じる葉焼けの被害を防ぐためも
保管室の温度は、低く保つことが大事なのだそうです。
さらに、生葉が傷ついてしまうと、呼吸量は増大。
生長中の病虫害対策はもちろん、
輸送時の圧迫や摩擦で葉面が損傷しないよう
細心の注意を払わなければなりません。
こうして、摘採後15~20時間程度までを目安とし
大切に保管された生葉は、加工処理へ移されていきます。
荒茶工程
日本茶の製造工程は、おおきく2種類に分けられます。
第一段階が、荒茶工程。
荒茶(あらちゃ)は、生葉を一次加工したもので
主に茶農家さんたちにより、茶畑に隣接する工場などで製造されます。
明治時代中ごろまでは、茶匠による手揉みが主流でしたが
現在は、手揉み技法をもとに開発された多様な機械を組み合わせ
一度に多くの葉を処理することが可能となりました。
簡単になってしまいますが、
荒茶製造の主な工程をご紹介します。
① 蒸す(蒸熱)
蒸気で加熱し、生葉がもつ酵素の働きを止めて青臭さを除去する、
葉を柔らかくして、以後の揉み工程を容易にするなどの役割をもちます。
この他、葉を炒って加熱処理する製法(釜炒り)もあります。
② 揉む(粗揉・揉捻・精揉 など)
茶葉を揉み、葉中の水分を均一に飛ばしながら
針状に形を整えていく工程です。
手揉みでは、「露切り」「ころがし」「でんぐり」といった
独自の名称をもつ伝統技法が駆使されます。
③ 乾燥
貯蔵性をもたせるため、熱風をあてて
葉中の含水率を5%程度まで減らしていきます。
仕上げ茶工程
第二段階は、仕上げ茶工程です。
荒茶は、まだ葉の形状が均一でなく
古い葉や硬い葉なども混合している状態。
そこで、商品としての価値を高めながら
いろいろな種類・価格帯の市販茶をつくるべく
下記のような仕上げ加工が行われます。
① 火入れ
火を入れることで、長期保存を可能とするほか、
お茶の甘み、香ばしさなどの風味を引き出します。
熱風で乾燥させる方法と鉄板の上で炒る方法があります。
② 選別
篩分(ふるい分け)や、風選(風でくず葉を飛ばす)を使って
荒茶中の古葉、茎・粉っぽい部分などを除去し
茶の形やサイズ、品質を揃えます。
選別の過程で出てきたものは出物(でもの)と呼ばれて
個々の長所を生かし、くき茶(棒茶)や粉茶として販売されるケースも。
③ 合組(ごうぐみ)
選別した茶(本茶)を、適切な分量で各種ブレンド。
消費地の需要・好みに合う商品へ仕上げた後、
小売袋や缶、テーバッグなどへ封入され、店頭に並べられます。
まとめ
皆さまが見慣れたお茶っぱの姿になるまでには
こんなにたくさんの工程があったんですね。
機会があれば、手揉みの技法も特集してみたいです。
それでは皆さま、すてきなお茶時間を。